参議院予算委員会議事より

2001年3月6日午後、参議院予算委員会で、質問に立った清水嘉与子議員(自民)は未成年者や若い女性の喫煙問題を中心に政府のたばこ規制対策について本格的な質問を展開しました。その関連質疑の模様をここに紹介させていただきます。

○清水嘉与子議員(以下清水議員とする)
 もう一つ、青少年を有害環境から守ることの一環としたしまして、青少年とたばこの問題について少しお伺いしたいと思っております。
 ちょうどこの1月に、公明党の元議員でいらっしゃった渡部先生からのお呼びかけをいただきまして、若者、特に若い女性の間でふえております喫煙の問題に警鐘を鳴らそうということで少し運動を始めました。発起人として医師会の坪井先生も入っていらっしゃるんですけれども、医師会におきましても、4月からは禁煙キャンペーンを実施するというふうな動きが出されておりまして、大変結構なことではないかというふうに思っております。
 たばこと健康影響、これはかなり疫学的なデータもそろっているわけでございまして、WHOでもかなり前から警鐘を鳴らしているわけでございます。日本でも年々喫煙率は下がってきております。下がってきてはいるんですけれども、若年者が減らないということでございまして、特に妊婦の喫煙と流産だとか、あるいは早産、死産、低体重児、先天異常、新生児死亡といったリスク、これとの関係が高まっていることが、これは喫煙によって、そういうことがわかっておりますので、日本はちょっと過大なたばこの広告でありますとか、町じゅうにあふれておりますたばこの自販機、非常に若者が誘惑に負けやすい環境がそろっているんじゃないかというふうに思うわけです。
 先般、厚生労働省が健康日本21、そしてこの削減目標を掲げようとしたけれども反対に遭ってできなかったというようなことも報道されるくらいに、日本はちょっとたばこに甘過ぎるんじゃないかという指摘もあるところでございます。
 ちょうど数日前の新聞でございます。EUのたばこの箱の警告文を強化する方向で一致したというのが出ておりましたけれども、恐らくこれは、WHOでこれからしようとしていますたばこ規制の枠組み条約の中身とすり合わせをしているようなものではないかというふうに思っているわけでございます。
 日本の場合は財務大臣の所管でございまして、製造たばこに係わる広告を行う際の指針、こういった告示によって、「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう」というのがたばこに書かれているわけなんですね。ところが、外国に出すときにはこれじゃだめだと。外国の規制を受けますので、かなり厳しいことが書いてあります。
 そこで、私はぜひ、今のこのたばこ事業法の、たばこを売る方の業界でこういう規制をしているわけでございますので、規制というかそういう所管を財務省でしておられるわけですのでこうなるのかもしれませんけれども、たばこの警告文、このあたりはもう厚生労働省と一緒に、厚生労働省の知恵もかりて警告文なりをもう少しきちんとした方がいおいんじゃないかというふうに思ったわけなんです。
 それについて、まず財務大臣、御意見を頂きたいと思います。

○国務大臣(宮澤喜一君)
 たばこ事業法というものがございまして、39条でただいま言われましたようなことについて文言を表示しなければならないということを言っております。現行の注意文言は、あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょうということになっております。
 その他、行政といたしましても、基本的には業界団体への指示としては、未成年者に人気のあるタレント等を製品の広告には用いない、あるいは未成年者向けの新聞、雑誌には広告を行わない、小中高校の周辺の屋外看板広告には製品の広告を行わない、それからたしか自動販売機の設置場所等々についてもいろいろ指示をいたしておりまして、財務省としても、たばこ産業を監督する立場でありますが、青少年の喫煙防止に向けて国の方針としての努力をまたたばこ会社にもするように指示をしておるという基本的な立場で御座います。

○清水議員
 厚生労働大臣にお伺いいたします。
 今、財務大臣のおっしゃるように、かなり業界の自主規制をやってくださっているということは伺っておりますし、確かにそうであろうと思いますけれども、しかし、まだまだ日本のたばこ業者というか厚生労働省の立場からいけばちょっと甘いのではないかと。
 これはWHOが今たばこ規制枠組み条約をつくろうということで協議しているようですけれども、そこで見ますと、草案なんですけれども、例えば18歳未満の青少年が利用できそうな場所へのたばこ自販機の設置を禁止するとか、18歳未満の青少年を対象とするあらゆるたばこ広告の禁止でありますとか、ライトとかウルトラライトとかマイルドといったような特定の種類のたばこが他のたばこよりも害が少ないかのような印象を与えるような商品名を禁止するというようなことが出ているわけで、これからどういうふうに協議されるのかわかりませんけれども、かなりWHOの方で指導も引き続きなされるというふうに思います。
 先進国の中でやはり日本がまだまだそういう意味ではおくれているという印象を持つわけでございますけれども、これからとくに健康日本21のなかでも多少のこと、ちょっとこれは緩やか過ぎるかなと思うんですけれども、これをどうやって健康影響とたばこの問題を進めていらっしゃるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。

○国務大臣(坂口力君)
 今、清水先生のご指摘をいただきましたとおり、若年者の喫煙というのは大変大きな問題でございまして、平成8年とちょっとデータは古うございますけれども、未成年者の喫煙行動に関する全国調査というのがございますが、これを見ましても、高校3年生で毎日吸っているというのが25%あるわけで、それで月に一遍でもというのを含めますと36%ぐらになるわけでございます。それぞれの生徒さんに書いてもらって、きちっと封をして、もう先生にはわからないように出してもらっている。厳重にやっていただいてこういう結果が出ておるわけでございまして、何とかこの未成年者の喫煙というものを減らしていかないかと、いわゆる成人後のさまざまな疾病にも関係してくるということでございますから、そのPRも十分にしていかなければならないというふうに思っております。
 それで、青少年の喫煙防止対策について平成7年3月に公衆衛生審議会におきまして取りまとめましたたばこ行動計画におきまして、未成年者の喫煙防止の徹底というのを大きな柱の一つにしているわけでございます。
 それで、先ほどご指摘になりました健康日本21におきましても、この中で、平成22年、したがいまして2010年ですね、2010年までに未成年者の喫煙をなくすと。これはなかなか難しい話だというふうに思いますけれども、そこまで踏み込んで書いてあるわけでございまして、これはこれに沿って本格的にやるということになれば、大分かぶとの緒を締め直してやらなかいといけないというふうに私も感じております一人でございます。
 また、財務省の方からも、大臣の方からもご説明ございましたが、たばこ販売業界に対しましては、未成年者の喫煙防止のための対面販売を心がけていただくとか、そうしたことを今始めているところでございます。
 いずれにいたしましても、喫煙が及ぼします健康影響についての調査をいたしましても、肺がんになるというようなことにつきましてはかなりの方がご存知でございますが、心臓病でありますとか、歯周病といいますか、歯槽膿漏みたいなものに大変悪い影響を与えるというようなことについては非常にご存知の方が少ないといったようなこともございまして、もう少しPRにもきちっとしないといけないというふうに思っております。
 WHOの話がございましたけれども、WHOにおきます健康被害を減少させることを目的とした決議、いわゆる1970年以降16回にわたって採択いたしまして、加盟国にも勧告しているところでございます。
 たばこ対策のための枠組み条約、先ほども出ましたが、この検討を促進する決議を採択しておりまして、平成15年5月を目処に条約の採決をすることとしているわけでございます。
 2003年でございます。したがいまして、あと2年ということになります。健康日本21の取り組みとあわせまして、このWHOの枠組み条約の取り組みへの積極的な参画を図っていきたいと思っております。
 税制でございますとか、たばこ事業、広範な分野に及び問題でございますし、外務省あるいはまた財務省、農林水産省、そうした省庁とも大変関係の深いところでございますから、関係の省庁とよく連絡をとりながらこれを進めていきたいと思っております。

○清水議員
 ありがとうございました。
 今のお話でございますけれでも、WHOのたばこの枠組み条約がこの5月にまた行われるわけですね。どうも今まででの厚生省、日本から出てくる代表の様子が、一応それをすることは賛成だけれでも、どうも後ろ向きの発言が多いんじゃないかというような批判も出ているわけでございます。ぜひこれにはきちんとしていただきたいというふうに思います。
 それから、さっきたばこの警告のところでちょっと触れませんでしたが、もうEUがかなりきつい改正をするわけですよね。2001年、また大きな改正をすると。今でも、例えばアメリカは、喫煙はがん、心臓病、肺気腫、妊娠障害などの原因になる、今禁煙をすればあなたの健康の重大なリスクを大幅に低減するとか、妊婦の喫煙は胎児障害、未熟児、低体重児出産を引き起こすおそれがある、この表現が今実はアメリカに行くたばこには書かれるわけですね。英語で書かれる、こういうふうに書かれている。妊婦の喫煙は胎児障害、未熟児、低体重児出産を引き起こすことがはっきり書いてある。日本ではたばこの吸い過ぎに注意しましょうだけなんですけれども、そこの、そういう違いがあります。
 カナダでも、喫煙は死に至る可能性がある、妊娠中の喫煙はあなたの赤ん坊に有害である、シガレットは心臓発作や心臓病の原因となる。EU、EUも、今でも、たばこは、煙は吸う人を殺す、妊娠中の喫煙はあなたの子どもに有害であると、とにかく具体的にかなり書いてある。
 そうすると、今度もしこれが通りますと、日本の中では相変わらずああいう表現をしているけれども、外国に行くときには、外国に出すたばこは変えなきゃいけないということになるわけでして、これはちょっとやはりおかしいのではないかと。やはり日本の中でも注意すべきものは注意する。
 吸いたい方にやめろと言うわけじゃないんですよ、吸いたい方はどうぞお吸いくださってもいいんですけれども、若い子どもたち、特にそういう誘惑に負けそうな子どもたちにきちんと教育するということは大事なことだと思いますので、財務省が持っておられますこの告示の中身について、ぜひ改正するというふうにしていただきたいと思いますけれども、厚生労働大臣、いかがでしょうか、協議していただけないでしょうか。

○国務大臣(坂口力君)
 今ご指摘になりましたように、そこのところは財務省の方とよく協議させていただきまして、できるだけご期待にこたえられるようにしたいというふうに思いますが、いずれにいたしましても、喫煙全体を問題にいたしますとかなり影響も大きいと思うんですね。ここにおきましても、先生と私と吸わない者同士でございますと、それ行けどんどんの話になりますが、しかしこの中でもお吸いになられる方もお見えでございまして、その皆さん方からは冷ややかな目をしているところでございまして、しかし未成年者に対してはというところは、ここだけは全会一致でこれはご支援をいただかなければならないわけでございまして、そのためにはやはりあらゆる方面に影響することでございますから、それぞれの影響するところにつきましては影響が緩和されるようなことも考えながら、トータルでこれはやっていかなければならないことでございますから、トータルでそういうことも考えながら、そして未成年者の喫煙につきましては毅然たる態度でいくこういうことにしたいというふうに思っております。

○清水議員
 ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。未来の子どもたちのために今しなければならないことを一つでも解決できたら私はうれしいと思っております。