Joel's Reinforcement Library





喫煙が与える肺へのインパクト




元喫煙者は他の人がタバコを吸っていると誘惑にかられる。禁煙してから、多くの時間を共にする友人がタバコを吸うととりわけ引き金になるかもしれない。新しい体験はどんなことであれ、喫煙も、慣習的な行為の一部では無いがタバコへの思いはごく自然な慣習のように見えることだろう。

元喫煙者が他の人が喫煙しているのを見ると、その時にタバコを吸ったらどんなに素晴らしいことかと夢想するのは自然なことである。そういう状況に対処するもっと建設的な方法は人が一本吸うのを観察して、数分間待ち次の一本、そしてもう一本と火をつけるのを観察することである。しばらくしてあなたはその人があなたの吸いたいような方法でタバコを吸っていないのが判るだろう、そしてその人自身も好きで吸っているのではないのである。しかしその人にとって他の選択の道はないのである。あなたには選択の道がある。この件について述べた手紙を添付する。私のライブのセミナーでの実演に基づいているのでやや記述が難解である。

私が全てのセミナーで実演するのですがプラスティックのパルモリーブのビンから作った喫煙装置でタバコをくわえるためにマウスピースが付いています。このシュミレーションはタバコを吸った時にどれだけの煙が吸入され吐いたときにどれだけの煙が出るかを示すものです。喫煙者は煙を吸い込みそのほとんど全てを吐き出していると思っています、しかし実際にはほんの少ししか吐き出されないのです(約10%)。私はいつも聴衆からもらったタバコを使います、もし私が自分で用意したタバコを使えば人々は仕込まれたタバコだと思うでしょうから。ともかく以下の手紙はこのデモンストレーションを見たクリニックの卒業生に書いた手紙ですが基本概念は見ていない人にも理解できると思います。喫煙をありのままに見れば、ただの一服だけという誘惑を最小限にすることでしょう。

手紙は以下の通りです。


人がタバコを吸っているのを見るときはいつでもクリニック初日に見たパルモリーブのデモを思い出してください。ビンの中に吸い込まれた煙が全て出てくるのではないことを思い浮かべてください。更に喫煙者はそのタバコ一本だけを吸うのではないことを記憶してください。彼は恐らく30分以内にもう一本吸うのです。そしてまた一本。実際彼は20、40、60本あるいはそれ以上の本数をその日の終わりまでに吸うのです。そして翌日も同じことです。このようなタバコを見た後では一本のタバコも吸いたいとは思わないでしょう?

私はクリニック参加者にいつでも提案します、タバコへの欲求に打ち勝つためにこの単純な思い浮かべ訓練に従ってくださいと。あるとき三日間禁煙している参加者にこの提案をしたところ、「なるほど自分自身を洗脳してタバコが欲しく無いようにするのね」と彼女は答えた。

わたしはこのように喫煙を思い浮かべるのを洗脳だとは思わない。元喫煙者にタバコは恐ろしく悪夢のようなものだと考えなさいと教えているのとは違う。むしろ、私は元喫煙者にタバコの真実の姿を見るように言っている。

パルモリーブの実演は喫煙者が吐き出す煙に比べて吸入する煙が実際どれだけなのかを正確に示している。ほとんどの喫煙者は肺に吸い込んだ煙のほとんど全てを吐き出していると思っている。しかし実演で観たようにほとんどの煙は肺に残っている。肺に残っている煙を頭に描けば喫煙者の体内で何が起こっているか楽観的な想像はできない。楽観的な想像ではなく正確な描写なのである。

元喫煙者が人のタバコを吸う姿を見るとどんなにうまいだろうと想像を働かせるものだ、どんな素晴らしい味がしてどんな良い気分なのかと。彼はその一本のタバコを楽しんでいるかもしれないが、そうでない可能性もある。

ほとんどの喫煙者が自分達の吸うタバコのほんの一部しか楽しんでいない。実際自分達が吸うタバコのほとんどに気が付いてさえいないのである。人によっては単に癖でタバコを吸うが、ほとんどの人はニコチンのレベルが最低レベルを下回ったために起きる離脱症状を緩和するために喫煙するのである。タバコはひどい味がするかもしれないが吸わないわけにはいかないのだ。喫煙者の大多数はそれほどまでに依存症になっているのでニコチンの血中濃度を保つために一日として欠かさずにタバコを吸う。

タバコを美化しないで下さい。再び喫煙中毒になったらどうなるか、いつでも明確で客観的な見方を維持してください。再び喫煙を始めたらまた強力な中毒の支配下に入るということには疑いがありません。何千本のタバコのために何百ドルものお金を使うことになります。タバコのような臭いがして社会の様々な場面で受け入れがたいとみなされるのです。一服ごとに何千種類もの毒を吸入するのです。これらの毒があなたの耐久力と健康を奪います。ある日その毒があなたの命を奪うかもしれません。

喫煙に付随するこれらの報いの全てを考えてください。そうすれば人がタバコを吸うのを見ればあなたは哀れみを感じるでしょう、羨望ではなく。彼らが送っている人生をあなたがタバコから解放されてから送っている、シンプルで、幸せで、健康なものと比べてください。これら全てを熟考すれば…決してその一服を吸わないで!!


パルモリーブビンの実演写真

この写真は10回ほど吐き出した後の様だ、この写真ではあまり多くを読み取れない。私は普通ビンから一回ごとに凄い量の煙を吐き出す、そして部屋が一本のタバコにより煙で満ち溢れる。ビンの口を見ればタールで硬く真っ黒になっている。前にはきれいだったのだ。このビンでは300本か400本のタバコを使った。随分多くのタバコのように聞こえるがほとんどの喫煙者はこれ以上のタバコを一ヶ月に吸う。ビンの部分も黄色くなっている、そして私は吸い込んだ煙をほとんど全て吐出している。ボトルは乾いているのでこういうことができるが、あなたの肺は湿っており吸い込んだタールを捕らえて離さない。吸い込まれたタールの90%は肺に留まる、人が煙を吐いているのを見るとおよそ10%の煙を吐き出している。

数百本のタバコを吸入した後、どのくらいビンが黒色になっているか見る事ができる。下にある喫煙者の肺がどのように変色しているかわかるでしょう。喫煙者は数百本のタバコを呼吸器に吸入しているだけではない、短くなった人生を通じて何十万本のタバコを供給しているのだ。この変色は美的にみて不快なだけではない、致命的なのだ。 

上写真 市街地の住民の健康な肺.
黒い点は大気汚染によるカーボンの堆積を示している
この写真を下の写真と比べてください

ガンのある喫煙者の肺。白い部分がガン、これがこの人を殺した原因。黒い部分は全ての喫煙者が一服するごとに塗りこめたタールの堆積。デモンストレーションの理解を深めてもらうために、喫煙によりどのくらいのタールが肺に入るかを示すもうひとつの方法を示す。下は喫煙マシーンである。

このマシーンは一日2000本のタバコを吸う、喫煙者がタバコを吸う状態をシュミレートして人間と同じ量のタールを捕らえるようになっている。一日でマシーンは下の写真の量の煙を捕らえた。

上の写真のタールが入ったボトルは2000本のタバコのものである。希釈した状態(物質の発がん性を証明するための動物実験では濃縮でなく、希釈して使う)でこのタールをねずみの皮膚に塗ると一年以内に60%の皮膚がんを発症した。

多くの化学物質が同じような実験で5%かそれ以下のガン発症の原因となれば使用を禁止される。タバコのタールは人類が知っている物質で最も発がん性の高い化学物質を含んでいる。人がタバコを吸って吸い込んだタールの10%だけを排出しているのを見たらこのことを考えてください。これらの化学物質は肺に塗りこめられるだけでなく、唇、舌、咽頭にも塗りつけ、一部は飲み込まれ食道を始めとして消化管全体に行き渡る。これら全ての部位で発ガンを増やすのである。

大まかな話を理解したと思うので、タバコが原因で肺に何が起こるのか詳細に見てゆこう。

以下のスライドはタバコを吸うと微視的に何が起こるかを描いている。最初のスライドは気管支の内側の展開図。

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一番上にはHと印をつけた繊毛がある。これらは円柱状の細胞Iについている。Jと記したゴブレット細胞で分泌されたり、更に肺の深部から出た粘液、粘液に引っかかった微粒子を繊毛が押し流す。Lは基部細胞。

次のスライドで喫煙がもたらす変化を見てゆく。円柱状細胞が込み合ってきて厚みを増した基部細胞に取って代わられている。繊毛が数少なくなった上に、まだ機能している繊毛もとても低い効率で働いている。タバコの煙の中の多くの化学物質は繊毛にとって有毒で、最初に動きを遅くして、直ぐに麻痺させ、破壊してしまう。

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このように繊毛運動が減少して粘液が細かい気道に堆積し喫煙者が呼吸をするのを難しくしている、喫煙者が例の咳払いをするのは気道をきれいにするためである。 

しかし最後には繊毛のある円柱細胞は完全に取って代わられてしまう。下の写真に見られるように不吉な変化が現われている。喫煙者は繊毛運動の浄化作用が失われるために感染しやすくなるだけでなく、この異常な細胞Oはガン性うろこ状細胞である。これらの細胞がついには基礎膜を浸透し肺細胞に侵入し、その人が病変になっていると気づく前にしばしば全身転移する。

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もし喫煙者が実際にガンが発生する前に喫煙をやめれば細胞が前癌状態でも元に戻る可能性が大いにある。繊毛の再生は喫煙を止めて三日で始まるから。繊毛が破壊され何年も存在していなくても食堂の壁の細胞は修復を始める。前癌状態の細胞でさえ時間が経てば剥がれ落ちる、壁が正常に戻るまで細胞が修復のプロセスを辿る。しかし喫煙者が喫煙を続けガンが始まると彼らの命を救うのは遅すぎるかもしれない。 

以下は同じ破壊効果を示す病理学スライドである。

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上面の小さなピンクの髪の毛状のものは繊毛であり、このイメージを上のイラストと比べれば粘液を出す細胞と剥離した下部の肺細胞から剥離したライニング細胞を見る事ができる。

以下は完全にこの組織の繊毛を破壊している喫煙者の肺の同じ部位である。

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以前には二重の、形が整いしっかりした基底細胞があったところに今は沢山の崩れ易いばらばらの細胞が正常な防御組織に取って代わっている。これらの細胞は前癌状態で、もし絶え間ない刺激(タバコの煙)を止めないと、以下に見るように、悪性になり下層の肺組織に侵入するステップに移り得る。

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すると次にこれが肺を離れて全身に拡大するのは時間の問題だ。もし、喫煙者が最後の変化の前に喫煙を止めれば、即ち細胞が悪性になる前に、最後のスライドに見るプロセスは避けることができる。実際二枚目のスライドで見た変化の多くは回復可能なのだ。

三日間で繊毛は再度生えてきて通常6ヶ月以内に正常な繊毛機能が戻ってくる。更には時と共に余分な細胞の層は剥げ落ちて気管支の内膜組織は正常に戻る。

不幸にして組織が悪性になるまで喫煙者が待つと見通しはぞっとするものになる。肺がん患者の5年生存率はたったの14%である。肺がんは前には稀な病気であったがこんにち男女を問わず癌死のリーダーなのである。

ガンは実際多くの異なった部位の様々な原因の病気である。過去一世紀のガンの傾向を見れば驚くべき変化がある。ガンはいつでも身近にあったが、大きな問題は様々な部位に起きた。肺ガンは前世紀の終わりにはほとんど無かった。医師が肺ガン症例を見つければ彼は医学専門誌に論文を書いただろう。現在肺がんは私たちの社会のガンによる死亡の主要な原因である、男女を問わず他の部位に比べてより多くの人を殺している。当時と現在の大きな違いは喫煙である。世紀の変わり目には喫煙は限られた範囲の習慣であった。ごく限られた人が喫煙し、吸う人も喫煙本数がごく少なかった。タバコは1900年代の終わりまでは量産もされていなかった。

私たちはいつも肺ガンの多発を聞いているのになんと多くの人が毎年ガンで死ぬのだろう。実際喫煙関連の発ガン部位を除けばガンによる死は減少傾向にあるのである。ある部位、例えば胃は劇的に発症が減少している、なぜかという理由は判らないが。その他の部位、例えば乳がん、発症率は減少していないが早期発見や良い治療があるので死亡率は落ちている。

しかし喫煙によるガン、肺、口腔、唇、舌、喉、喉、すい臓、食道、咽頭、膀胱は20世紀を通じてハッキリと増加している。これらの部位のガンはわが国では目立たないものから主要な死因へと変貌を遂げた。実際は成人の喫煙率の低下により、100年間で初めてガン発症とガン死の下降を経験しつつある。

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男性

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女性

男性と女性の肺ガン発症率の大きな違いがわかると思う。理由は女性は男性よりもずっと遅くタバコを吸い始めるから、女性が喫煙することが社会的に受け入れられるようになるまで30年間の時間のずれがあるから。男性の喫煙率は第一次世界大戦で大きく伸び、第二次大戦でも大きく伸びた。兵士に無料でタバコを配ったのが大きかった。女性の喫煙率上昇はずっと遅れて、ガンとその他の疾病の上昇の時間のずれと重なっている。

上の写真は主として喫煙がどのように肺ガンやその他のガンを発症させるか説明した。しかしタバコのタールが肺を攻撃することはガンを発生させるだけではない。その他の肺の病気が直接タバコにより引き起こされ、最もよく知られているのはCOPD(肺気腫)である。

喫煙により引き起こされるCOPDの中で最もよく知られているのは肺気腫である。これも喫煙者に主として起こる病気のひとつである。原因の90%以上が喫煙である。中には遺伝的な体質が原因で、タバコを吸わないのに罹患する家族もある。これは稀な状況で血液中のある種の酵素が足りないのである。繰り返すがこれはレアーケースで、あなたの家族が一度たりとも喫煙をしたことが無いのに肺気腫にかかったら遺伝的な体質のせいである。しかし、繰り返しになるが、肺気腫の90%以上は喫煙が原因である。タバコを止めれば病気のリスクを無くせる。

喫煙によりどのように肺が変化し肺気腫になるかを理解するため次の写真を見て欲しい。最初の写真は非喫煙の都市住民の膨らませた肺である。

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上の正常な肺の写真に大気汚染から来るカーボンの広範囲な堆積を見ることができる。しかし肺気腫の喫煙者の肺と比較して見ると…、

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…目で見てわかる大きな違いがある。組織が変色しているだけでなく肺が形を失い呼吸を困難にして最後には不可能にしてしまう。肺気腫になるとどういう感じかを掴むためには、大きく息を吸ってそのまま保持してください。一切息を吐かずに更に息を大きく吸ってください。そしてまたそのまま保持してください。もう一度、そしてもう一度。さあ全て吐き出して結構です。

その二回目か三回目の呼吸が肺気腫の進んだ人が呼吸する時に感じる症状なのだ。肺気腫は息を吐き出すことができない病気なのだ。皆さんが吸入出来ない病気と考えているが、実際は逆だ。タバコを吸うと、息を吸うために使った筋肉を使った後でそれを元に戻す組織が破壊され肺の弾力が失われる。そこで次の息をしようとするとそれがより困難になる、なぜならあなたの肺は元の形に戻ることができなかったのだから。

一生涯のあいだ、いまあなたがやった二回の呼吸のようにもがきながら生きてゆくことを想像してください。不幸なことに何百万の人がそれを想像する必要が無いのです、毎日そういう呼吸で生きているのです。とても惨めな生き方で苦しみながらゆっくりと死に至るのです。

多分あなたはきょう普通に呼吸をし、痛みも無く、酸素マスクも使っていないことでしょう。タバコを吸わなければあなたは楽に息をし続け爽快な人生を送る能力を維持できるでしょう。この真実を決して忘れないで下さい。あなたの残りの人生でマトモに息ができる能力を維持するためにはいつでも忘れないで下さい…決してその一服を吸わないで!

翻訳:西田季彦


(C) Joel Spitzer 2001


See also how smoking impacts circulation

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